第4章 情報リテラシー・AI事業者ガイドライン・AI新法
第4章は、生成AIを安全に利用するためのリスク・法律・社会原則を学ぶ章です。技術の仕組みよりも、利用時に何に注意すべきか、どの権利やルールが関係するかを整理します。
この章の3分要約
- インターネットリテラシーは、情報を正しく読み取り、安全に利用するための力です。
- フィッシング、スミッシング、ヴィッシング、マルウェア、ランサムウェア、ソーシャルエンジニアリング攻撃を区別します。
- 生成AIに個人情報や要配慮個人情報を不用意に入力しないことが重要です。
- AI生成物でも、著作権、商標権、肖像権、パブリシティ権、不正競争防止法に関わる可能性があります。
- AI社会原則では、人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、透明性、アカウンタビリティなどが重視されます。
- AI新法は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律として押さえます。
インターネットリテラシーとセキュリティ
インターネットリテラシーとは、インターネットを安全かつ適切に使うための知識や判断力です。情報の信頼性を見極める力、セキュリティとプライバシーへの配慮、デジタル市民権などが含まれます。
代表的な攻撃
| 攻撃 | 概要 |
|---|---|
| フィッシング | 偽サイトや偽メールでID・パスワードなどを盗む |
| スミッシング | SMSを使ったフィッシング |
| ヴィッシング | 音声通話を使った詐欺 |
| マルウェア | 悪意のあるソフトウェア |
| ランサムウェア | データを暗号化し、身代金を要求する攻撃 |
| ソーシャルエンジニアリング | 人間の心理や油断を利用して情報を盗む攻撃 |
生成AIによって、詐欺メールや偽メッセージが自然な文章で作られる可能性があります。見た目や文章が自然でも、安全とは限りません。
個人情報保護の観点
個人情報保護法では、個人を識別できる情報を適切に取り扱うことが求められます。氏名、住所、メールアドレスだけでなく、個人識別符号や、他の情報と照合して個人を特定できる情報も含まれます。
要配慮個人情報と機微情報
要配慮個人情報は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴など、取り扱いに特に注意が必要な情報です。生成AIにこれらの情報を入力すると、情報漏洩や不適切な利用につながる可能性があります。
匿名加工情報とマスキング
匿名加工情報は、特定の個人を識別できないように加工した情報です。マスキングは、氏名や住所などを伏せる処理です。ただし、単に一部を隠せば安全とは限らず、他の情報と組み合わせて再識別される可能性も考慮します。
制作物に関わる権利
生成AIで作成した文章・画像・音楽・動画であっても、既存の著作物や人物の権利を侵害する可能性があります。AIが生成したから自由に使える、という理解は危険です。
| 権利・法律 | ポイント |
|---|---|
| 著作権 | 文章、画像、音楽などの著作物を保護する |
| 特許権 | 技術的な発明を保護する |
| 商標権 | 商品名やロゴなどの識別標識を保護する |
| 意匠権 | デザインを保護する |
| 肖像権 | 本人の顔や姿を無断利用されない権利 |
| パブリシティ権 | 有名人などの顧客吸引力を保護する考え方 |
| 不正競争防止法 | 営業秘密や限定提供データなどと関連 |
試験では、AI生成物の著作権の所在、既存権利の侵害可能性、事実確認の必要性が問われやすいです。
AIを取り巻く理念・原則・ガイドライン
AI社会の基本理念には、人間の尊厳が尊重される社会、多様な幸せを追求できる社会、持続可能な社会があります。AIは便利さだけでなく、人間中心で安全・公平に活用される必要があります。
AI社会原則と共通の指針
人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性、アカウンタビリティ、教育・リテラシー、公正競争確保、イノベーションなどが重要です。
AIの事業活動を担う3つの主体
AI開発者はAIシステムを開発する主体、AI提供者はAIシステムやサービスを提供する主体、AI利用者は業務でAIを利用する主体です。それぞれに求められる責任や対応が異なります。
AI新法
AI新法は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律として、2026年2月試験範囲に追加された重要項目です。AIのリスクを意識しつつ、研究開発や活用を社会的に進めるための枠組みとして理解します。
学習のポイント
- AI新法の必要性
- AI新法の基本構造
- AI新法の内容
- 注意すべき具体的なリスク
- AI事業者ガイドラインとの関連
頻出用語表
| 用語 | 意味 | 試験での注意点 |
|---|---|---|
| スピアフィッシング | 特定の相手を狙うフィッシング | 通常のフィッシングより標的型 |
| プレテキスト | もっともらしい口実を作って情報を得る手口 | ソーシャルエンジニアリングと関連 |
| 要配慮個人情報 | 取り扱いに特に配慮が必要な個人情報 | AI入力時の注意点 |
| 営業秘密 | 秘密管理された有用な事業情報 | 不正競争防止法と関連 |
| 透明性 | AIの仕組みや利用状況を理解しやすくすること | 説明責任とは区別 |
| アカウンタビリティ | 説明責任 | AI利用の責任と関連 |
| AIガバナンス | AIを適切に管理・運用する枠組み | リスク分析、マネジメントと関連 |
間違えやすいポイント
- 自然な文章のメールでもフィッシングの可能性があります。生成AIで詐欺文面が高度化するためです。
- 匿名化とマスキングは同じではありません。匿名加工情報には再識別リスクへの配慮が必要です。
- AI生成物だから著作権侵害にならない、とはいえません。
- 透明性とアカウンタビリティは同じではありません。
- AI新法は規制だけでなく、研究開発と活用の推進の観点も含みます。
確認チェックリスト
- フィッシング、スミッシング、ヴィッシングを区別できる。
- マルウェア、ランサムウェア、ソーシャルエンジニアリングを説明できる。
- 個人情報、要配慮個人情報、匿名加工情報を区別できる。
- 著作権、肖像権、パブリシティ権、不正競争防止法を生成AI利用と結び付けて説明できる。
- AI社会原則と共通の指針を説明できる。
- AI開発者、AI提供者、AI利用者の違いを説明できる。
- AI新法とAI事業者ガイドラインの関係を大まかに説明できる。