第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作と実例
第5章は、生成AIを実際に使うためのプロンプト設計を学ぶ章です。単に「質問する」だけでなく、目的、条件、入力情報、出力形式を整理して指示することで、生成AIの出力品質を高められます。
この章の3分要約
- LMは言語モデル、LLMは大規模言語モデルです。
- LLMは大量のテキストデータから言語のパターンを学習し、次に続く語や文章を生成します。
- プロンプトは、生成AIに与える指示・背景・入力・出力形式を含む情報です。
- Zero-Shotは例を示さずに指示する方法、Few-Shotは少数の例を示して期待する出力を伝える方法です。
- Instruction、Context、Input Data、Output Indicatorを意識すると、プロンプトが整理しやすくなります。
- 生成AIは、正確な文字数指定、計算、最新情報、芸術の批評などが苦手な場合があります。
LMとLLM
LM(Language Model)
LMは言語モデルです。言葉の並び方を確率的に学習し、ある文脈の次にどの語が来やすいかを予測します。古典的な例としてn-gramモデルがあります。n-gramモデルは、直前のn個の語の並びをもとに次の語を予測する考え方です。
ニューラル言語モデル
ニューラル言語モデルは、ニューラルネットワークを使って言語のパターンを学習するモデルです。単純なn-gramよりも文脈を柔軟に扱いやすく、現在のLLMの基礎につながります。
LLM(Large Language Model)
LLMは大規模言語モデルです。大量のテキストデータと多くのパラメータを使って学習され、文章生成、要約、翻訳、質問応答、分類、コード生成など幅広いタスクに対応できます。試験では、LLMを「何でも正確に知っている存在」と誤解しないことが重要です。
プレトレーニングとハイパーパラメータ
プレトレーニングは、大量のデータであらかじめ学習することです。その後、目的に応じて調整されます。ハイパーパラメータは、モデル学習や出力制御に関わる設定値です。TemperatureやTop-pは、生成結果の多様性やランダム性に関わる代表的な設定です。
プロンプトの基礎
プロンプトは、生成AIに対する入力です。短い質問だけでなく、目的、前提条件、対象読者、入力データ、出力形式、制約条件などを含めることで、期待に近い出力を得やすくなります。
| 要素 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| Instruction | 何をしてほしいか | 次の文章を要約してください |
| Context | 背景や前提 | 生成AIパスポート初学者向けに |
| Input Data | 処理対象の情報 | 要約したい本文 |
| Output Indicator | 出力形式 | 箇条書き3点で出力 |
Zero-ShotとFew-Shot
Zero-Shotは、例を示さずに指示だけで回答させる方法です。Few-Shotは、少数の例を示してから回答させる方法です。出力形式や判断基準を安定させたい場合はFew-Shotが有効です。
LLMプロンプティングの実践
生成AIは、文章の校正、整理、要約、変換、話者変更、会話形式への変換、例え話の作成、数字の変換などに活用できます。試験では、具体的な利用場面を問われることがあります。
要約して
次の文章を、生成AIパスポートを初めて学ぶ人向けに300字以内で要約してください。出力は「要点」「注意点」「覚える語句」の3項目に分けてください。
校正プロンプト例
変換プロンプト例
テキスト生成AIのビジネス応用
生成AIは、定型的な文章作成、アイデア出し、情報整理、翻訳、会議準備などに活用できます。ただし、業務で使う場合は情報漏洩、著作権、誤情報、社内ルールへの適合を確認する必要があります。
| 用途 | 活用例 | 注意点 |
|---|---|---|
| メール作成 | 依頼文、謝罪文、案内文を作る | 宛先や事実関係を確認する |
| アンケート作成 | 質問項目を作る | 誘導的な質問になっていないか確認 |
| アンケート分析 | 自由記述を分類・要約する | 個人情報を入力しない |
| キャッチコピー | 複数案を生成する | 商標や既存表現との類似に注意 |
| アジェンダ作成 | 会議の議題を整理する | 目的と時間配分を明確にする |
| タスク抽出 | 文章から作業項目を抜き出す | 抜け漏れを人間が確認する |
| 翻訳 | 外国語メールや文章作成 | ニュアンスや専門用語を確認する |
| ブレインストーミング | アイデアを広げる | 実現性や正確性は別途検証する |
テキスト生成AIの不得意なこと
生成AIは便利ですが、すべてを正確に処理できるわけではありません。不得意分野を理解することは、安全な活用に直結します。
| 不得意なこと | 理由・注意点 |
|---|---|
| 正確な文字数指定 | 文字数を厳密に数える処理が苦手な場合がある |
| 計算 | 言語パターンとして答えるため、計算ミスが起こることがある |
| 最新情報 | 学習データや参照情報が古い場合がある |
| 芸術の批評 | 主観的判断が含まれ、絶対的な正解がない |
| 事実確認 | ハルシネーションにより誤情報を出すことがある |
試験では、「生成AIは万能ではない」「出力は人間が確認する」という観点が繰り返し重要になります。
頻出用語表
| 用語 | 意味 | 試験での注意点 |
|---|---|---|
| n-gramモデル | 直前のn個の語をもとに次の語を予測する考え方 | 古典的な言語モデルとして押さえる |
| プレトレーニング | 大量データで事前に学習すること | ファインチューニングとの違い |
| Temperature | 出力のランダム性を調整する値 | 高いほど多様、低いほど安定 |
| Top-p | 候補語の確率範囲を制御する設定 | 生成の多様性と関連 |
| Zero-Shot | 例を示さずに指示する方法 | Few-Shotと比較 |
| Few-Shot | 少数の例を示して指示する方法 | 形式を安定させやすい |
| Output Indicator | 出力形式の指定 | 表、箇条書き、JSONなど |
間違えやすいポイント
- プロンプトは短ければよいわけではありません。目的や条件が不足すると出力が不安定になります。
- Zero-ShotとFew-Shotは、例を示すかどうかで区別します。
- Temperatureを上げると常に正確になるわけではありません。多様性が増える一方、ばらつきも増えます。
- 生成AIは計算や最新情報が常に正確とは限りません。
- ビジネス利用では、生成結果をそのまま使わず、人間が確認します。
- 翻訳やメール作成でも、個人情報や機密情報を入力しない配慮が必要です。
確認チェックリスト
- LM、LLM、n-gramモデル、ニューラル言語モデルを説明できる。
- プレトレーニング、Temperature、Top-pの意味を説明できる。
- Instruction、Context、Input Data、Output Indicatorを使ってプロンプトを構成できる。
- Zero-ShotとFew-Shotを区別できる。
- 文章校正、要約、変換、翻訳、タスク抽出などの活用例を説明できる。
- 生成AIが不得意なことを具体例とともに説明できる。