第3章 現在の生成AIの動向
第3章は、現在の生成AIがどのような分野で使われているか、そしてRAGやAIエージェントのような新しい仕組みを理解する章です。単語暗記だけでなく、「何ができるか」「どのようなリスクがあるか」「どの仕組みで実現しているか」を結び付けて学習します。
この章の3分要約
- 生成AIは、テキスト、画像、音楽、音声、動画など複数の形式のコンテンツを生成できます。
- 画像生成AIや動画生成AIでは、データ拡張、リマスタリング、自己回帰モデル、Veo3などの用語が関連します。
- ディープフェイクは、深層学習を用いて本物らしい偽画像・偽音声・偽動画を作る技術で、偽情報のリスクがあります。
- RAGは、外部データを検索してから回答生成に使う仕組みです。チャンクとベクトルデータベースが重要です。
- AIエージェントは、目標達成のために計画し、ツールを使い、処理を進めるAIの仕組みです。
- MCPは、AIと外部ツール・データとの接続を考える際に重要な用語です。
生成AIができることと主なサービス
生成AIは、文章だけでなく、画像、音楽、音声、動画など幅広い形式を扱います。試験では、各生成AIの種類を「何を生成するか」で整理すると理解しやすくなります。
| 種類 | できること | 押さえる観点 |
|---|---|---|
| テキスト生成AI | 文章作成、要約、翻訳、質問応答 | ChatGPT、Claude、Geminiなど |
| 画像生成AI | 画像作成、画像編集、リサイズ、補正 | 正規化、augmentation、データ拡張 |
| 音楽生成AI | メロディ、伴奏、BGMの生成 | 著作権や既存楽曲との類似に注意 |
| 音声生成AI | 音声合成、読み上げ、声質変換 | なりすましリスクと関連 |
| 動画生成AI | 動画生成、編集、リマスタリング | Sora、Veo3などの文脈で押さえる |
画像や動画の分野では、入力データの品質をそろえる正規化、学習データを増やすデータ拡張、古い映像や画像を高品質化するリマスタリングなども関連します。
ディープフェイク
ディープフェイクは、深層学習を用いて人物の顔や声を本物らしく合成する技術です。映画や翻訳、エンタメなどに使える一方で、政治家や有名人の偽動画、詐欺電話、なりすまし、偽情報の拡散に悪用される可能性があります。
試験では、ディープフェイクを単なる「高品質な動画生成」として覚えるのではなく、ディスインフォメーション、本人確認、肖像権、名誉毀損、社会的混乱などのリスクとセットで理解することが重要です。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)
RAGは、検索拡張生成と訳されます。生成AIが持つ内部知識だけに頼るのではなく、外部の文書やデータベースを検索し、その結果を参考にして回答を作る仕組みです。
文書をチャンクに分割 → ベクトル化 → ベクトルデータベースに保存 → 質問に近い情報を検索 → 検索結果をもとに回答生成
RAGのメリット
RAGを使うと、社内文書、マニュアル、FAQ、最新資料などを参照した回答がしやすくなります。モデルそのものを再学習しなくても外部情報を活用できるため、運用しやすい点が特徴です。
RAGの注意点
検索される文書が間違っていれば、回答も誤る可能性があります。また、チャンクの分け方や検索精度が悪いと、適切な情報を取得できません。RAGはハルシネーションを減らす助けになりますが、完全になくす仕組みではありません。
AIエージェント
AIエージェントは、ユーザーの指示に対して単に答えるだけでなく、目標を達成するために手順を考え、必要なツールを呼び出し、作業を進める仕組みです。例えば、情報収集、資料作成、Web操作、コード生成、外部API連携などを組み合わせることがあります。
AIエージェントの仕組み
AIエージェントでは、計画、実行、観察、修正のサイクルが重要です。最初にゴールを分解し、必要なアクションを選び、結果を確認しながら次の行動を決めます。
ツール事例とMCP
シラバスでは、GenSpark、Manus、Skywork AI、MCPなどが学習対象です。MCPは、AIが外部ツールやデータソースと接続する文脈で理解します。AIエージェントの能力は、モデル単体の性能だけでなく、どのツールやデータに接続できるかにも左右されます。
頻出用語表
| 用語 | 意味 | 試験での注意点 |
|---|---|---|
| augmentation | 学習データを加工して増やすこと | データ拡張技術として覚える |
| ディープフェイク | 本物らしい偽画像・偽音声・偽動画を作る技術 | 偽情報と関連 |
| RAG | 検索結果を使って回答を生成する仕組み | 再学習ではない |
| チャンク | 検索しやすいように分割した文書単位 | RAGの前処理で重要 |
| ベクトルデータベース | 意味の近さで情報を検索するDB | 類似検索と関連 |
| AIエージェント | 目標に向けて計画・実行するAI | ツール連携が重要 |
| MCP | AIと外部ツール・データの接続に関わる仕組み | AIエージェントの外部連携で理解する |
間違えやすいポイント
- RAGはモデルを再学習する仕組みではありません。外部情報を検索して回答に使う仕組みです。
- ディープフェイクは動画だけでなく、画像や音声にも関係します。
- AIエージェントは単なるチャットAIではなく、計画・ツール利用・実行がポイントです。
- ベクトルデータベースはキーワード一致ではなく、意味の近さで検索する点が重要です。
- RAGを使っても誤情報が完全になくなるわけではありません。
確認チェックリスト
- テキスト・画像・音声・動画生成AIの違いを説明できる。
- ディープフェイクのリスクを説明できる。
- RAGの流れを、チャンク、ベクトルDB、検索、生成の順で説明できる。
- RAGのメリットと限界を説明できる。
- AIエージェントと通常のチャットAIの違いを説明できる。
- MCPが外部連携の文脈で出てくることを理解している。